第4話:蜜月と離別

第3話からのつづき 大久保の裏通りに、季節外れのおでんを出すスナックがある。 赤提灯ではない。 ネオン管の看板に「うたかた」と書かれた、どこか場末で、昭和風の洒落た店。 天ぷらが名物という変わり種だったが、真夏でも出汁の […]

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第3話:タクミ式マネジメント

第2話からのつづき 「いいか。社員が“辞めたい”って言い出したら、“おめでとう”って言えばいいんだよ。」 タクミは社長椅子にふんぞり返りながら続ける。 「お前の人生、俺の船から降りるってんなら、せいぜい泳ぎ切ってみなって […]

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第2話:肩書きと女に溺れる

島田タクミの「武器」は、電話営業だけではなかった。 もうひとつの武器──それは「肩書き」である。 タクミは自らをこう名乗っていた。 「東京大学卒。文科三類で心理学を専攻していた」 実際の学歴は、地方の「駅弁大学」中退であ […]

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第1話:栄光は誰のために

本名は島田巧(しまだたくみ)という。 だが、塾の関係者や教え子、保護者たちは誰もそうは呼ばなかった。 彼を知る者は、畏れと困惑、そしてある者は尊敬の念を込めてこう呼ぶ。 「塾長」と。 時は2010年代。 場所は、東京・山 […]

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