Zoomの接続が完了するまでの数秒が、やけに長く感じられた。 画面に現れたのは、いつも通りのフクロウのアバター──“W.Navi”。 ゆっくりとした揺れを繰り返すだけの簡素なアニメーション。だが、そこに確かに「誰か」がい […]
Continue readingカテゴリー: Wの視点
第28話:不安が趣味なのかもしれない(後編)
「不安が習慣、ですか……」 画面の向こうで、大学生の青年はつぶやいた。 Wのフクロウアバターは、変わらずゆっくりと揺れている。 「不安って、すごくやっかいですよね。でもね、無理に“なくそう”とすると、かえって暴れ出すんで […]
Continue reading第27話:不安が趣味なのかもしれない(前編)
Zoomの画面に現れたのは、まだ10代の面影を残す男子大学生だった。 少し猫背気味に椅子にもたれ、落ち着かない視線が画面の向こう側を泳いでいる。 「こんにちは、初めまして。神奈川大学の1年生です。ちょっとヘンな相談かもし […]
Continue reading第26話:自分を殺す勇気(後編)
前回から一週間後。 Zoomの接続音が鳴り、再び画面がつながる。 菊池由衣(きくちゆい)の表情は、少しだけ柔らかくなっていた。 「……あの後、もう一度脚本を書き直してみたんです」 「そうですか。どんな気持ちで?」 ユイは […]
Continue reading第25話:自分を殺す勇気(前編)
Zoomの接続音が鳴り、画面に小さなウィンドウが開く。 そこに映ったのは、長い黒髪を一つにまとめた若い女性だった。 表情はどこか硬く、目の下にうっすらと疲れの影。 「……はじめまして。菊池由衣(きくちゆい)です」 声には […]
Continue reading第24話:塾が多すぎて、もうわかりません(後編)
Zoomの画面越し、Wのフクロウアバターがゆっくりと首を傾ける。 「……ミノウラさん。ご主人、不動産関係のお仕事でしたよね?」 突然の問いかけに、ヒデミは一瞬、目を丸くした。 「え? あ、はい……。賃貸管理の会社に勤めて […]
Continue reading第23話:塾が多すぎて、もうわかりません(前編)
Zoom越しの画面には、どこか疲れた様子の女性が映っていた。 背後には、整頓された本棚と、子ども向けの参考書が無造作に積まれている。 「こんにちは。今日は、すみません……ちょっとだけ、相談させてください」 箕浦秀美(みの […]
Continue reading第22話:やさしさの副作用
夜11時過ぎ。 Zoomの画面に映ったのは、白髪が目立ち始めた勘解由小路康夫(かでのこうじやすお)だった。 「ワナミ先生……夜分にすみません」 その声は少しかすれ、目の下には薄くクマが滲んでいた。 照明のせいではない、“ […]
Continue reading第21話:スピリチュアル教師の孤独(後編)
第20話からのつづき 「……逆に、それを突き詰めればいいんじゃないですか?」 「へっ!? 突き詰めるって、何を……?」 Zoom越しに、満月とクリスタルが輝く幻想的な背景を背にしたニッポリ研二が目を丸くする。 「つまり、 […]
Continue reading第20話:スピリチュアル教師の孤独(前編)
Zoomの画面に現れたのは、いつもながらインパクトのある背景だった。 満月とクリスタルが合成された、神秘と不思議が渦巻く宇宙的イメージ。 中央に佇むのは、渋谷の東大合格予備校STXの名物教員、日暮里研二(にっぽりけんじ) […]
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