カテゴリー: 島田タクミの進路指導

第8話:森村ヒナタの理転

第7話からのつづき ──春先のことだった。 「こんにちは。体験授業を申し込みました、森村ヒナタです」 カンゾウの塾長室のドアが開いた。 島田タクミは、椅子にもたれたままチラリと顔を上げる。 高校の制服に、黒髪ストレートの […]

Continue reading

第3話:村井リクトの法進

第2話からのつづき ──その日、島田タクミは不機嫌だった。 夕飯用に買ったスーパーの「おでんパック」。 「お得セット!」と書いてあったくせに、中身を開けてみたら── こんにゃく、白滝、そして、やたらでかいちくわぶ。 タク […]

Continue reading

第2話:鈴木マナの現実

第1話からのつづき ──数日前、中野の安キャバにて。 「将来は絵の道に進みたいんです」 島田タクミの好みド真ん中、陰のある美大生キャバ嬢が、そう言った。 島田は、その夜、めずらしくマジメに口説いた。 だが── 「おじさん […]

Continue reading

第1話:田所ユウトの覚醒

──田所ユウト。 その名を聞いて、何かを思い浮かべる人間は、当時のカンゾウ(関東学力増進機構)にはひとりもいなかった。 成績は中の下。 授業には出ているが、質問はしない。 真面目でも、不真面目でもない。 いるようで、いな […]

Continue reading