あれから2年。 私は今、大学生活をそれなりに楽しんでいる。 四ツ谷のあの大学にいた頃より、ずっと居心地がいい。 たしかに偏差値は低めかもしれない。 でも、それが何?って思う。 この大学の学生たちは、良くも悪くも素直だ。 […]
Continue readingカテゴリー: 黒岩ミサキの戦略
第8話:感動の物語にしてあげた
初春の風は、乾いていて、少しだけ甘い。 受験会場へ向かう電車の中、私はスマホを握りながら、ふと思った。 (……なんか、私、主人公やってるな) ──半年で、バカな高卒女を大学生にしてやった。 島田タクミの脳内では、たぶん、 […]
Continue reading第7話:世界を広げる、フリ
「半年で、俺が大学生にしてやるよ」 島田タクミの口からそのセリフが出たとき、私はグラスを拭きながらこう思った。 (なんか、面白くなってきた) * 私は決して自分から高卒と言い出したわけではない。 「高卒なんだってね」と言 […]
Continue reading第6話:それは虚勢か、習性か
その夜のことは、今でもよく覚えてる。 フリーでふらっと入ってきたラガーシャツの中年男。 雰囲気は昭和丸出し。 声は倍音。香水は強め。 首には金のネックレスが鈍く光る。 なのに、手首には時計がなかった。 あれだけ「俺が、俺 […]
Continue reading第5話:仮面とグラスと、観察記
大学3年の秋。私はキャバクラで働き始めた。 冷静に考えれば、遅すぎるとも言えるし、早すぎるとも言える。 でも、私の中では“ちょうどいいタイミング”だった。 なぜなら── 大学も、サークルも、バイトも。 全部、飽きたから。 […]
Continue reading第4話:ザンネンウォッチング
大学という鳥籠がつまらなかったから、私は、街に出た。 “働く”という行為には、何か違う刺激があるんじゃないか── そんな期待も、ほんの少しだけあった。 けれども。 * 最初に入ったのは、タリーバックスだった。 このカフェ […]
Continue reading第3話:大学って、こんなもの?
大学に入れば、もう少し“面白いこと”があると思っていた。 入学式の帰り道、四ツ谷駅のホームで見上げた空は悪くなかった。 風もあったし、日差しもほどよかった。 でも、大学は風をくれなかった。 吹いたのは、湿った空気だけだっ […]
Continue reading第2話:テニス部と変態作家たち
中高一貫の女子校生活は退屈だった。 周囲の女子は皆、必死に勉強していた。 でも私は例によって必死じゃなかった。 部活はソフトテニス部に入った。 テニスは楽しかった。いい気分転換になった。 だけど、部長や副部長の座を巡る女 […]
Continue reading第1話:べつに頑張ってないから
私は思う。 人には「大」か「小」しかいない。 時々「中」もいるが滅多にいない。「大」なんて絶滅危惧種だ。 小学二年のとき。 授業中に担任から言われた。 「クロイワさんはいつもテストでいい点数とってえらいね。いっぱい勉強頑 […]
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