投稿者: 1

第2話:鈴木マナの現実

──数日前、中野の安キャバにて。 「将来は絵の道に進みたいんです」 島田タクミの好みド真ん中、陰のある美大生キャバ嬢が、そう言った。 島田は、その夜、めずらしくマジメに口説いた。 だが── 「おじさん、無理。生理的に無理 […]

Continue reading

第19話:証言の日

約束の場所は、新宿御苑近くの喫茶店だった。 駅から5分ほど歩いた場所にある、どこか場末感のある昭和風の店。 カウンターの奥からは、八神純子や杉山清貴の、どこか懐かしい80年代のヒット歌謡が流れていた。 ──「恋は焦らず」 […]

Continue reading

第17話:動画、アップロード

部屋に残された、たった一枚の名刺。 それが、すべての“引き金”だった。 ──あの人は、私を忘れていた。 それが、悔しいとか、悲しいとか、そういう感情とは少し違っていた。 けれど、“忘れられる側”の痛みは、確かに残った。 […]

Continue reading

第16話:夜の街で、再び

第15話からのつづき 新宿・歌舞伎町。 夜の雑踏に、光と音と酔いが混ざり合っていた。 ハルカは、TOHOシネマズの前を通り過ぎ、職安通り方面へと歩いていた。 このあたりには、“トー横”と呼ばれている場所がある。 ほんの少 […]

Continue reading

第15話:投稿ボタンの先に

その日、ハルカは最後の「夜」を見届けるつもりで、新宿に向かった。 トー横。 東宝ビルの横。 かつては、そこが居場所だった。 ボロボロのジャージ、缶チューハイの空き缶、タバコの吸い殻。 誰かが脱ぎ捨てた厚底スニーカー。 「 […]

Continue reading