第2話からのつづき 受験業界では通称「メディデラ」と呼ばれている医学部専門予備校・メディカルデラックス。 本部ビルのガラス張りの面接室に、スーツ姿の男が姿を現した。 時計は、午後2時半を指していた。 ノック3回。ドアが開 […]
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第2話:いわゆるシゴデキ男
受験業界では通称「メディデラ」と呼ばれている医学部専門予備校・メディカルデラックス。 本部のガラス張りの面接室に、スーツ姿の男が姿を現した。 時計は、午前11時きっかりを指していた。 ノック3回。ドアが開き、男が柔らかな […]
Continue reading第1話:先生と呼ばれたくて
医学部専門予備校・メディカルデラックス本部。 都庁を望む副都心の高層ビル街。 その一角に建つオフィスビルのひとつ、その34階の応接フロアに、午後の日差しがやわらかく差し込んでいた。 磨き抜かれたガラス窓の向こうには、遠く […]
Continue reading第6話(終):マイ・ソウル
避暑地・山中湖。 その湖畔に立つ、ログハウス風の豪華な別荘──それが、STXプレジデント・サギヤの所有する“フェニックス・リトリート”である。 空気は澄み、夜には湖に月が落ちる。 軽井沢ではありがちだが、ここでは月が、湖 […]
Continue reading第5話:何者かになりたくて
第4話からのつづき 渋谷駅から徒歩7分。 「渋谷東大エクスプレス」、通称STX。 その個別指導ブースの一角で、額に汗をにじませながら、ノートPCを叩き続ける男がいた。 ニッポリ研二。 STXの生徒指導担任、そしてスピリチ […]
Continue reading第4話:ガンジスにほえろ!
第3話からのつづき 「最近、全部どうでもよくなってきて……」 渋谷・STXの個別指導ブース。 浪人2年目、東大志望の男子が、ポツリと呟いた。 「旅に出たいんです。インドとか。……ガンジス川の夕焼け、綺麗だろうなぁ……」 […]
Continue reading第3話:男は顔じゃない
第2話からのつづき 渋谷── 駅前のビル群を抜け、裏通りの雑居ビルにひっそりと構える予備校、STX(渋谷東大エクスプレス)。 壁に金色の文字で刻まれたスローガンはこうだ。 「Rise Again with Infinit […]
Continue reading第2話:逃げちゃダメだ!
──渋谷STX、自習室の一角。 その日、ニッポリ研二は珍しく「講師っぽい顔」をしていた。 正面に座る男子生徒は、何かを言い出しかけて、また飲み込むような顔をしていた。 「……あの、先生」 「うん?」 「僕……志望校、変え […]
Continue reading第1話:波動と鼻水
渋谷の雑居ビルにある東大受験専門予備校「渋谷東大エクスプレス」。 通称STX。 ここの自習室の片隅の机で、担任の英語講師・日暮里研二(ニッポリケンジ)は、うつむいた生徒と向かい合っていた。 「……やってるんですけど、成績 […]
Continue reading第20話(終):それぞれの音
第19話からのつづき ──数ヶ月後。あるいは、数年後。 白井リョウスケ率いるバンド《poetic justice》は、いまや世界的な注目を集める存在になっていた。 そのサウンドは破壊的で、どこまでも暴力的で、そして、驚く […]
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