──メディカルデラックス本部、面接室。 ガラスのドアが開いた瞬間、どこか“気取った空気”がふわりと流れ込んできた。 「どうも、本日はよろしくお願いいたします」 頭を下げたのは、やせ型のメガネ男。 スーツの肩はどこか落ち着 […]
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第13話:腐敗の残滓
第12話からのつづき 受験業界では通称「メディデラ」と呼ばれている医学部専門予備校・メディカルデラックス。 本部ビル37階、ガラス張りの面接室。 午前10時半。 スーツ姿の男が現れた。 微かにタバコの匂いをまとっている。 […]
Continue reading第12話:煮詰まった男
第11話からのつづき ──その日の夜。 イチカワ雄二は、ファミレスの片隅で、ノートパソコンを開いていた。 「エゾエ……あんた、見る目ないね」 ニヤリと笑う。 「こっちはもう次のステージに進んでるんで──」 画面には、新し […]
Continue reading第10話:その実績、本物か
メディカルデラックス本部ビル・37階。 受付を済ませ、案内されたのは白を基調にしたガラス張りの面接室。 午後2時ちょうど。 イチカワ雄二は、重厚な扉を開けて一歩踏み出す。 室内には、ひとりの男が既に着席していた。 黒のス […]
Continue reading第9話:主役になりたい男
第8話からのつづき 午後1時すぎ。曇りがちな空の下、高層ビルが林立する都心の一等地にそびえ立つ、タワービルの37階。 そこにあるのは──医学部専門予備校、メディカルデラックス。 通称「メディデラ」。 ビルの前に立つひとり […]
Continue reading第8話:キャリアコレクター
受験業界では通称「メディデラ」と呼ばれている医学部専門予備校・メディカルデラックス。 西新宿の高層ビル34階、ガラス張りの面接室。 午後2時30分に彼女は現れた。 柔らかいピンクのジャケットにフリル付きのブラウス、胸元に […]
Continue reading第7話:講師志望の高学歴女子
第6話からのつづき ──メディカルデラックス本部ビル・7階 面接室。 午後4時。 扉が控えめにノックされる。 「……失礼いたします」 静かに入ってきたのは、真面目そうな女性だった。 ──森川恵(もりかわめぐみ)・29歳。 […]
Continue reading第6話:教育現場の後方指揮官
第5話からのつづき 高校野球を引退したあと、エゾエはスポーツ推薦で都内の中堅私立大学に進学した。 経営学部に所属し、野球部にも入った。 だが、そこにはもう、かつてのような“燃える何か”はなかった。 「野球じゃない、何かを […]
Continue reading第5話:敗北のキャプテン
第4話からのつづき ──時代は1980年代。 甲子園のアルプス席では「サウスポー」と「狙いうち」が一日中鳴り響いていた頃。 高校野球は、“青春のすべて”だった。 地方都市にある私立高校──その野球部のキャプテンが、江添慎 […]
Continue reading第4話:自分探し君
──午後3時すぎ。メディカルデラックスの応接室。 面接室のドアが、勢いよく開かれた。 「はじめましてっ!!」 ドアから入ってきたのは、やや小柄で、やけに頭が大きい男。 白いワイシャツはボタンダウン。 ダークイエローのチノ […]
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