夜10時すぎの歌舞伎町。 島田巧(しまだたくみ)は、ホストとキャバ嬢と外国人観光客でごった返す一角のコンビニに並んでいた。 店内は蒸すような熱気。 並ぶ客の列は、レジ前をくねくねと蛇行しながら冷蔵ケースまで延びている。 […]
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第4話:逸材の門前払い
関東学力増進機構──通称「カンゾウ」の総務室では、ある一人の職員がパソコンの前でうなだれていた。 東山(ひがしやま)だ。 数日前に行われた「担任職」の採用面接。その結果を報告するため、彼は塾長室のドアをノックした。 「失 […]
Continue reading第3話:おでん汁、飛ぶ
カンゾウと呼ばれる高田馬場にある中堅予備校「関東学力増進機構」。 このカンゾウにも、予備校にとっては最大の「稼ぎ時」、夏期講習シーズンがやってきた。 この時期になると講師たちの間では水面下での戦争が始まる。 「で? 今年 […]
Continue reading第2話:演じすぎた男
今回は、舞台から転げ落ちた英語講師のエピソード。 「塾長……ちょっと……あの人、本気でどうにかしないと……」 島田巧(しまだたくみ)が鎮座する塾長室にやってきた東山(ひがしやま)が声をひそめた。 「誰のことや?」 「シノ […]
Continue reading第1話:資格よりも、人格やろ
「2年生の山根君の父兄から、クレームが入りました」 関東学力増進機構・塾長室。 昼下がりの静寂を打ち破るように、総務の東山(ひがしやま)が封筒を机に置いた。 「これが書面です」 ヒガシヤマは読み上げる。 「“大学進学を志 […]
Continue reading第29話:お節介な性分
Zoomの接続が完了するまでの数秒が、やけに長く感じられた。 画面に現れたのは、いつも通りのフクロウのアバター──“W.Navi”。 ゆっくりとした揺れを繰り返すだけの簡素なアニメーション。だが、そこに確かに「誰か」がい […]
Continue reading第28話:不安が趣味なのかもしれない(後編)
「不安が習慣、ですか……」 画面の向こうで、大学生の青年はつぶやいた。 Wのフクロウアバターは、変わらずゆっくりと揺れている。 「不安って、すごくやっかいですよね。でもね、無理に“なくそう”とすると、かえって暴れ出すんで […]
Continue reading第27話:不安が趣味なのかもしれない(前編)
Zoomの画面に現れたのは、まだ10代の面影を残す男子大学生だった。 少し猫背気味に椅子にもたれ、落ち着かない視線が画面の向こう側を泳いでいる。 「こんにちは、初めまして。神奈川大学の1年生です。ちょっとヘンな相談かもし […]
Continue reading第26話:自分を殺す勇気(後編)
前回から一週間後。 Zoomの接続音が鳴り、再び画面がつながる。 菊池由衣(きくちゆい)の表情は、少しだけ柔らかくなっていた。 「……あの後、もう一度脚本を書き直してみたんです」 「そうですか。どんな気持ちで?」 ユイは […]
Continue reading第25話:自分を殺す勇気(前編)
Zoomの接続音が鳴り、画面に小さなウィンドウが開く。 そこに映ったのは、長い黒髪を一つにまとめた若い女性だった。 表情はどこか硬く、目の下にうっすらと疲れの影。 「……はじめまして。菊池由衣(きくちゆい)です」 声には […]
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