Zoomの接続が完了する。 画面に映ったのは、開業医・上杉高充(うえすぎたかみつ)の白衣姿の男だった。 背景は病院の応接室のようだが、画像が古く、やけにぼやけて見える。 「いやぁ、先生。この前はありがとうございました。急 […]
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第13話:燃え尽きたホームラン(後編)
Wはしばらく沈黙した後、静かに口を開いた。 「シノダさん、以前、宇宙飛行士の野口聡一さんの話を聞いたことがありますか?」 「え? 宇宙飛行士……ですか?」 「はい。彼が地球に帰還したとき、長い間、疎外感に苦しんだそうです […]
Continue reading第12話:燃え尽きたホームラン(前編)
Zoom画面に映った男は、がっしりとした体つきに浅黒い肌。 髪は短く整えられているが、その目元にはどこか影があった。 彼はしばらく何も話さず、Wのフクロウアバターがゆっくりと揺れる姿を眺めていた。 「篠田敬吾(しのだけい […]
Continue reading第11話:耳は金なり
Zoomの接続が完了する。 画面に映ったのは、白衣姿の男性だ。 「いやぁ、先生。今日もありがとうございます、急にお時間いただいちゃって──」 和波知良(わなみかずよし)のアバター、フクロウのWは、静かに、左右にゆらゆらと […]
Continue reading第10話:最近の若者は…(後編)
Zoomの画面に映るフクロウは、ゆっくりと身体を左右にゆらしながら、一回瞬きをした。 「共感と理解は、まったく別物です」 声は、柔らかく、しかし芯がある。 「共感とは、相手の価値観や感情に“自分もそう思う”と寄り添うこと […]
Continue reading第9話:最近の若者は…(前編)
「最近の若い奴は、って言いたくはないんですけどね」 その言葉で、オンラインの相談が始まった。 画面に映っているのは、スーツ姿の男性。 名は古田和久(ふるたかずひさ)。 年の頃は40代半ばで、大手家電メーカーの中間管理職だ […]
Continue reading第8話:書けなくなった小説家(後編)
前編からのつづき 「あなたは、“好き勝手にやってもいい立場”にいると、自覚していますか?」 フクロウの声は変わらず穏やかだった。 その口調は、責めるでも急かすでもなく、淡々と問いを投げかけているだけに思えた。 ミズハラは […]
Continue reading第7話:書けなくなった小説家(前編)
Zoomの接続が完了するまでの一瞬、モニターには自分の顔が映った。 一瞬だけ、睨むような目をしていたのに気づいて、水原創一(みずはらそういち)は小さく息を吐いた。 その直後、画面の向こうに現れたのは──フクロウのアバター […]
Continue reading第6話:夢のない作文(後編)
第5話からのつづき 「ユウトさん、“目上の人に好かれる人間”って、どう思います?」 フクロウのアバターが、静かにもう一度首を傾けた。 「……え?」 ユウトの顔が、ほんのり驚きに染まる。 でも、ただの驚きではない。 小学生 […]
Continue reading第5話:夢のない作文(前編)
Zoomの接続が完了するまでの数秒が、やけに長く感じられた。 志村悠斗(しむらゆうと)、小学6年生。 Zoomの接続が完了するまでの3秒が、妙に長く感じられた。 ユウトは、小さく深呼吸をしてから画面を見つめた。 現れたの […]
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