第8話:学歴マウント客

カンゾウの塾長室。 島田巧(しまだたくみ)は、いつものラガーシャツ姿で、机に足を投げ出していた。 「……次の冬期講習のパンフ、表紙は俺で行こか。“東大合格請負人 島田巧”が大見出しやな、……ふっ」 自分の肩書きに酔いしれ […]

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第7話:ホットカルピスの刑

カンゾウ──正式名称、関東学力増進機構。 大手予備校ではないが、知る人ぞ知る都内にある大学受験予備校だ。 その一角、女子生徒の水谷歌帆(みずたにかほ)は、夕方の自習室で赤ペン片手に英語長文と格闘していた。 表情は明るく、 […]

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第5話:コンビニパンチ

夜10時すぎの歌舞伎町。 島田巧(しまだたくみ)は、ホストとキャバ嬢と外国人観光客でごった返す一角のコンビニに並んでいた。 店内は蒸すような熱気。 並ぶ客の列は、レジ前をくねくねと蛇行しながら冷蔵ケースまで延びている。 […]

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第4話:逸材の門前払い

関東学力増進機構──通称「カンゾウ」の総務室では、ある一人の職員がパソコンの前でうなだれていた。 東山(ひがしやま)だ。 数日前に行われた「担任職」の採用面接。その結果を報告するため、彼は塾長室のドアをノックした。 「失 […]

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第3話:おでん汁、飛ぶ

カンゾウと呼ばれる高田馬場にある中堅予備校「関東学力増進機構」。 このカンゾウにも、予備校にとっては最大の「稼ぎ時」、夏期講習シーズンがやってきた。 この時期になると講師たちの間では水面下での戦争が始まる。 「で? 今年 […]

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第2話:演じすぎた男

今回は、舞台から転げ落ちた英語講師のエピソード。 「塾長……ちょっと……あの人、本気でどうにかしないと……」 島田巧(しまだたくみ)が鎮座する塾長室にやってきた東山(ひがしやま)が声をひそめた。 「誰のことや?」 「シノ […]

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第1話:資格よりも、人格やろ

「2年生の山根君の父兄から、クレームが入りました」 関東学力増進機構・塾長室。 昼下がりの静寂を打ち破るように、総務の東山(ひがしやま)が封筒を机に置いた。 「これが書面です」 ヒガシヤマは読み上げる。 「“大学進学を志 […]

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第29話:お節介な性分

Zoomの接続が完了するまでの数秒が、やけに長く感じられた。 画面に現れたのは、いつも通りのフクロウのアバター──“W.Navi”。 ゆっくりとした揺れを繰り返すだけの簡素なアニメーション。だが、そこに確かに「誰か」がい […]

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